「新しい歩みは新しい思いで。」 ルカ福音書5章36節~39節

末娘の結婚式で、相手の義父が自分のワイナリーで造ったワインを披露しました。普段あまりワインを飲んでない私でしたが、その芳醇な香りに驚き、また口に含むと豊かな味わいに感動しました。むろん、一口だけでしたが、彼らは、ワインを飲めば何処の産でどういうものかわかるのだそうです。ワインは、熟成するに連れて色が濃くなり、ふくよかな味になるそうです。ワインは、昔は安全に飲むことができる大事な飲み物でした。

今日の聖句は、新しい(ヌーボー)ワインは、更に発酵が進むので膨張し、古い革袋は堅く伸縮性がないので、それに耐えられずに破れてしまうということです。

 イエス様を批判する人々は、彼らの信じる戒律や教えに基づいて、イエス様の行動が間違っていると思うからです。その一つは、ユダヤを支配するローマの手先として働く取税人に対して

です。どの時代にも税を納めることは義務付けられていますが、ローマ帝国の手先として働くことを売国奴と非難するのです。

 取税人であったレビ(マタイ)は、イエス様に目を留められ「わたしについて来なさい。」(5・27)と呼び掛けられると、直ぐに取税人を辞めてイエス様の弟子になることを決め、その喜びの為に自分の家で「イエスのために盛大なもてなしをした。」(29)。漁師ならば、弟子となった後でもペテロのように漁師に戻ろうとすることはできるけれども、取税人が職を投げだしたら、復職は不可能でしょう。彼は、心に感動し、喜んで自分の職も財産も投げ出したのです。

 ここでパリサイ人や律法学者が「罪人」(30)と呼ぶのは、律法に相応しくないと彼らが判断した職業の人々ですが、そもそも律法が記された時代には、取税人はいないのです。彼らが勝手に罪人呼ばわりをしているのです。

 イエス様は、却って、「わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためです。」(32)と言われます。

ある宗教に熱心になると他の宗教を批判攻撃する場合が多くありますが、キリスト教を信じた後で、批判的攻撃的言動をすることは、イエス様の教えに相応しくありません。「罪人を悔い改めさせる」のだ、という人がおりますが、イエス様は「招いて」とあり、上から目線ではありません。ともかく、批判的なことは聖霊に満たされた人がすることではありません。マタイは、自分の回心を喜び、人々をもてなして喜ばせたのです。

 他にも、彼らは批判を続けますが、イエス様は、ご自分の教えは新しいぶどう酒のように力のあるもので、古い皮袋のように伸縮性のない堅いものでは対応できないと伝えます。

 「誰でも、キリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」(Ⅱコリント5・17)。

 キリストに救われた者は、自分の生まれ、育ち、習慣、学歴、家柄、貧富、それら全てに固執してはなりません。神が用意される新しい歩み、新しい計画に従わなければならないからです。

 取税人を罪人と定めたのは、律法ではなく、人の偏見や利害です。私たちは、過去に築き上げられた価値観、考え方によって、自分の行動を規制、あるいは制限しているのです。

 ペテロは、「きよくない物や汚れた物を、まだ一度も口に入れたことがありません。」(使徒11・8)と言うと、「神がきよめた物を、あなたがきよくないと言ってはならない。」(9)と天から語られる幻を見ました。その後、異邦人がペテロを訪ねて来たので、その人たちの家に入りました。同じ信仰者たちが、「あなたは割礼を受けていない者たちのところに行って、彼らと一緒に食事をした。」(3)と非難された時の弁明です。そして、ペテロが異邦人に語ると、聖霊が彼らの上に下ったのでした。それを信者たちに語ると、「それでは神は、いのちに至る悔い改めを異邦人にもお与えになったのだ。」(18)と神をほめたたえたのでした。

 初代教会のリバイバルは、このように偏見や差別を捨て、新しい教えを受け容れたから始まったのです。

 私たちの教会は、新しいビジョンにより、新しい創造的な歩みをしようとしています。その為には、教会員一同が、聖霊に満たされ、新しい歩みをしようと願うことが大事です。

 「大事なのは新しい創造です。」(ガラテヤ6・15)

ルカ福音書5章36節~39節

  • 5:36 イエスはまた一つのたとえを彼らに話された。「だれも、新しい衣から布切れを引き裂いて、古い衣に継ぎを当てたりはしません。そんなことをすれば、その新しい衣を裂くことになり、新しい衣から取った布切れも古い衣には合いません。
  • 5:37 まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れたりはしません。そんなことをすれば、新しいぶどう酒は皮袋を裂き、ぶどう酒が流れ出て、皮袋もだめになります。
  • 5:38 新しいぶどう酒は、新しい皮袋に入れなければなりません。
  • 5:39 まただれも、古いぶどう酒を飲んでから、新しい物を望みはしません。『古い物が良い』と言います。」