「あなたは祝福となりなさい。」 創世記12章1~5節

私の専門は、管理(Administration、management)です。経営管理とは、「組織の目的を効果的かつ能率的に達成するために組織そのものの維持や発展を図ることである。」とあり、私の関心は、神様の組織である教会を有効に維持管理して発展させ、その目的を達成することです。

その管理の対象は、まず人です。人がその能力を発揮するには、基礎力が大事です。教わることを求めるのではなく、自ら学び力を付けようとする意識が必要です。知識ではなく、知恵です。日本の教育は、知識教育であって、使われる人の能力でした。そして、同じものではなく、違う能力が必要です。更に多彩かつ、責任感が大事で、助け合うことで組織が強化、成長します。日本の組織では、変化や多様性に対処できません。

次に有形無形のモノです。良質の仕事をする為には、変化やニーズに対応するモノがなければなりません。ITやネットなど、最新技術に熟練していることが必要です。

更に、これらを十分に動かす経済力がなければなりません。貯金思考は、マタイ25・27にあるように最低の能力です。コツコツと資金を貯めていたら、必要なことができません。

4人の王たちが逃げる途中でソドムにいるロトとその財産を奪った時、「アブラムは、自分の親類の者が捕虜になったことを聞き、彼の家で生まれて訓練された者318人を引き連れてダンまで追跡した。…アブラムは全ての財産を取り戻し、親類のロトとその財産、それに女たちや他の人々も取り戻した。」(創世記14・14.16)。ギデオンの兵士たちのように「恐れおののく者」(士師記7・3)や危険への備えのない者は、役に立たないのです。アブラハムは、318人を「訓練」したのです。訓練されたがらない人が報酬を得ることはありません。

孫のヤコブが叔父のラバンのもとで、知恵をもって家畜を育て、「弱いものはラバンのものとなり、強いものはヤコブのものとなった。」(30・42)という結果をもたらしたのは、アブラハム譲りの家畜育成の技術とコツが受け継がれていたからでしょう。

「アブラムは家畜と銀と金を非常に豊かに持っていた。」(創世記13・2)。「イサクはその地に種を蒔き、その年に百倍の収穫を得た。主は彼らを祝福された。こうして、この人は富、ますます栄えて、非常に裕福になった。」(26・12.13)

このようにアブラハム・イサク・ヤコブは大変祝福されたのですが、その理由は、「わたしは、あなたを大いに増やす。」(17・1)、「主は彼を祝福された。」(26・12)という神の祝福です。

先に、経営管理のコツは、人、モノ、経済力と話しましたが、そのようなものを持っていても、祝福を得られなければ、人生はうまく行きません。短期的には成功したとしても、人生の栄枯盛衰は取るに足りないものです。更には、たとえ成功しなくても、神に信仰を向け、祝福を求める人生は、その人の魂に幸いをもたらします。

私が好きな箇所は、ある暑い日に、3人の人を迎えたシーンです。「主よ。もしも宜しければ、どうか、しもべのところを素通りなさらないでください。水をすこしばかり持って来させますから、足を洗って、この気の下でお休みください。私は食べ物を少し持って参ります。それで元気をつけて、それから旅をお続けください。」(18・3-5)。大族長であるアブラハムが、自ら旅人をもてなすのです。人を選り好みして見下す傾向のある人がいますが、そのような人が神も人も祝福するはずがありません。

教会が大事にするやもめは、「良い行いによって認められている人、すなわち、子どもを育て、旅人をもてなし、聖徒の足を洗い、困っている人を助けるなど、すべての良いわざに励んだ人にしなさい。」(Ⅰテモテ5・10)とあるとおりであって、人に親切にすることのできない人は、神の祝福を受けることはできないのです。「祝福となりなさい。」とは、あなたの存在が他の人にとって祝福となることであり、他の人に関心を持たない人では、無理なのです。

アブラハムは、一族郎党を祝福する為に、神の祝福を求め、「心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くし」(マルコ12・33)て生きてきたのです。自分勝手な人は、孤立し、人を愛しません。そして、神にも相手にされない人生を生きてしまうのです。

アブラハムが「祝福」となっていなかったら、エジプトでも守られなかっただろうし、王たちに略奪されたロトを助けることもできなかったし、周囲の人々からの攻撃にも耐えられなかったでしょう。神の祝福こそが、彼を守り、反映させたのです。

創世記12章1~5節

  • 12:1 【主】はアブラムに言われた。「あなたは、あなたの土地、あなたの親族、あなたの父の家を離れて、わたしが示す地へ行きなさい。
  • 12:2 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとする。あなたは祝福となりなさい。
  • 12:3 わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者をのろう。地のすべての部族は、あなたによって祝福される。」
  • 12:4 アブラムは、【主】が告げられたとおりに出て行った。ロトも彼と一緒であった。ハランを出たとき、アブラムは七十五歳であった。
  • 12:5 アブラムは、妻のサライと甥のロト、また自分たちが蓄えたすべての財産と、ハランで得た人たちを伴って、カナンの地に向かって出発した。こうして彼らはカナンの地に入った。