「人生の礎はキリストの言葉。」 マタイ7章21~27節

散歩やドライブで地勢を見るのが好きです。千葉県は谷津が多く、丘陵地が浸食されて谷ができた湿地(津)です。丘陵地なので洪水の被害は殆どないのですが、粘土質の地盤は地震には弱く、揺れが増幅します。丘陵を削って津を埋めた宅地造成地は、地震には弱いのです。土地を購入する時は、古地図を見て、田んぼであった所は避けるべきです。不動産会社の巧みな誘いに惑わされてはいけません。同じ地震でも、軟弱な地盤では家は倒れてしまいます。多くの人が、家や土地の見た目を重視し、間取りを考えます。基礎がしっかりとしてなければ、せっかくの家も倒れてしまうのです。

 イエス様が話されたのは地盤です。家とは、その人の人生です。砂地とはどういうものでしょうか。砂浜に山を築いても、波と共に崩れ去ります。安易に家を建てようとするよりも、しっかりとした地盤を探し、そこにしっかりとした基礎を築くことが大事です。

 現代日本人の価値観は、金銭です。富を求めて働き、富を使うことに喜びを見いだします。家族の幸せも、金銭をふんだんに使って、食べたり、買い物をしたり、レジャーをすることです。アジアやアメリカでは、同様の価値観ですが、ヨーロッパに行くと少し異なります。

 家が古く、数百年前のものを使いやすいようにリフォームして住んでいます。金持ち以外は、旅行もあまりしません。自分の生まれ育った街から離れようとしません。むろん、時代の波、世俗化は押し寄せていますが、それぞれの地域の文化が形成されています。日本でも、地方ではそういうところが多くあります。

 さて、私が言いたいことは、第一に価値観や人生の基盤を、世俗のものに惑わされている人が多くいるということです。テレビを見過ぎです。コマーシャルに惑わされ過ぎです。若い人々が、それに乗っていたら、警告するのが大人なのに、一緒に惑わされています。

 「わたしのこれらのことばを聞いて、それを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえることができます。」(24)。クリスチャンといえども、聖書を読む時間よりも、テレビを見る時間が多い人が殆どであり、聖書の基準を身に付けていない人が多くおります。

 次に教えられるのは、「それを行う者はみな」ということです。自分の判断で、聖書や聖霊に教えられたことを行うのです。「わたしが命じることを行うなら、あなたがたはわたしの友です。」(ヨハネ15・14)

 「岩の上に自分の家を建てた賢い人」は、他人と同じように生きるのではなく、信仰者として自らに責任を持ち、自らの思いで信仰に基づき、人生を築き上げるのです。この世の基準ではなく、信仰者として、聖書に教えられ、聖書に基づいて生きることを選ぶことが大事なのです。そして、それこそが祝福と成功の道であり、「賢い人」なのです。

 それは、「『主よ、主よ』と言う」ことではなく、「あなたの名によって預言し、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって多くの奇跡を行った」ということでもありません。神のみことばに従って生きるということなのです。

 そういう面では、クリスチャンと自称しながら、破廉恥な行動や自分勝手な生活を送っている人々のことを思います。牧師と言いながらも、献金や奉仕を信者に強いて、自らは謙遜を忘れ、特権や名誉を重んじている人々がいることも知っています。彼らは聖書を信じていると言いながら、それを行っていないのです。

 神を信じて生きるということは、神が全てを見ておられるということを意識して生きるということです。隠しようもありません。隠せると思っている人は、神を信じていないのです。誤魔化して巧みに言い逃れして生きていけると考えている人は、裁きの神の前に立ちおおせません。

 困難もあり、失敗もあり、みっともないことも行い、罪も犯します。それらを全て神は観ておられることを認めるのです。そして、愛の神、赦しの神が、私たちを立ち直らせてくださることを信じるのです。

 地盤に家の基礎を築くためには、地盤を掘り下げ、家全体の基礎を形作らなければなりません。神は、あなたの弱さ、未熟さ、罪深さ、頑なさ、それらをもってこそ、地盤に堅く繋げるものとしてくださるのです。

 私たちは、神に受け入れられるためには、完全でなければならないとか、聖くなければならないとか、考える傾向があります。しかし、完全な人も、聖い人もいないからこそ、イエス様は、私たちの罪のために身代わりに十字架に掛かってくださったのです。

 大事なことは悔い改めて、神にすがることです。神は偽善者を嫌います。嘘つきも、頑なな人も、言い訳をする人も救うことはできません。

 キリストの言葉を信じすがって生きようではありませんか。

マタイ7章21~27節

  • 7:21 わたしに向かって『主よ、主よ』と言う者がみな天の御国に入るのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行う者が入るのです。
  • 7:22 その日には多くの者がわたしに言うでしょう。『主よ、主よ。私たちはあなたの名によって預言し、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって多くの奇跡を行ったではありませんか。』
  • 7:23 しかし、わたしはそのとき、彼らにはっきりと言います。『わたしはおまえたちを全く知らない。不法を行う者たち、わたしから離れて行け。』
  • 7:24 ですから、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえることができます。
  • 7:25 雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家を襲っても、家は倒れませんでした。岩の上に土台が据えられていたからです。
  • 7:26 また、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行わない者はみな、砂の上に自分の家を建てた愚かな人にたとえることができます。
  • 7:27 雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまいました。しかもその倒れ方はひどいものでした。」