「虐げられた女性たちは恵みを受けた。」マタイ19章3~10節

歴史的に世界中で女性たちが虐げられてきたことは一夫多妻や妾などに現れています。そこでは、女性は性欲の対象、そして子孫を残すための存在と見なされてきたのです。現代でも、アフリカや中東、アジアの一部では一夫多妻が制度的に認められています。イスラム教では4人までの妻帯が認められ王侯では5人以上の妻もあります。モルモン教でも当初は一夫多妻制でしたが、アメリカ社会で認められるために廃止しました。日本でも側室などがあり、お妾さんと呼ばれる女性たちが存在しました。

現代でも、性的な誘惑は公然なものとなり、不倫や婚外の性行為が社会と夫婦、そして家族を混乱、崩壊させています。その被害者、犠牲者となるのは殆ど女性でありながら、女性たちも性的な魅力に惑わされています。

歴史的にいつの時代でも、どこの国や地域でも、女性たちは、虐げられ、権利や人格を認められず、搾取されてきました。イエス様の弟子たちでさえ、簡単に離婚ができないのならば「結婚しない方がましです。」(10)というほどの女性蔑視をしているのです。

しかし、聖書を読むと、賢明な女性たちが多く出てきます。その中で、夫が賢明だったのは、サラ(アブラハムの妻)、リベカ(イサク)、ルツ(ボアズ)、夫が愚かだったのは、アビガイル(夫は愚か者ナバル)、エステル(クセルクセス王)、ハンナ(エルカナの妻の一人)などでしょう。

新約聖書で賢明だったのは、エリザベツ(マリヤの親戚)、マリヤ(イエス様の母)、アンナ(女預言者)、マグダラのマリヤ、ラザロの妹のマリヤ、カナンの女(子犬も食卓から落ちるパンくずはいただきますと言って褒められ、悪霊に附かれた娘を癒された)、レプタ硬貨2枚を献げてイエス様に褒められた貧しいやもめ、紫布の商人ルデヤ、気前の良いドルカス、プリスキラ(アクラの妻)らがいます。

女性たちは、現代でも虐げられ、差別され、容姿についてマナーについて性格や能力について男性以上のことが要求されています。最近、香川という俳優が女性に対する性加害、暴力などを報道されて出演やCMがキャンセルされました。歌舞伎役者の子として生まれたが、母の浜木綿子が離婚した為に男系の歌舞伎を継ぐことができなくなった負い目が、東大を出ても男尊女卑の考え方を形成したと言われています。

人の深層心理が人格を形成します。酒に酔ったり、失敗をしたりすると、それが表に出て、怒り易くなったり、しつこくなったり、スケベになるようです。人を差別したり、攻撃したり、自慢したり、自分を隠す人は、自らの心の傷をそれによって補おうとするようです。その対象が、弱者や女性に向けられるのです。女性は歴史的に常に被害者です。
「主よ。どうか、心に留めてください。…あなたの山鳩のいのちを獣に引き渡さないでください。あなたの悩む者達のいのちを永久に忘れないでください。…虐げられる者が辱めを受けて帰されることがなく、苦しむ者、貧しい者が御名を褒めたたえますように。」(詩篇74・18-21)

神を信じていない者にとっては、苦しく嫌で不幸なことですが、そのような中で神を求める者がいるのです。社会の多くの人々は罪人であり、快楽を求め、人の優劣を探り、人を落とし込んで、自分だけは幸せになろう、勝ち抜こうと考えます。そのような人が、神を求めることは決してなく、救われるはずがないのです。

イエス様は、「創造者ははじめの時から『男と女に彼らを創造され』ました。」と答えました。男女の優劣はないのです。むろん、違いはあります。女性に戦いは不得手です。集団的な規律よりも家族的な約束事の方が向いています。感情的には細やかであり、優しくて子育てを男性だけではできません。神が、男と女に創造されたのは、男女の違いが必要だからです。それを優劣とするのは、罪人だからです。

『それゆえ、男は父と母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりは一体となるのである』という奥義を身に着ける為には、夫も妻も、罪赦されて神を信じると共に人格的に成長しなければなりません。人を非難し、責めることは罪びとには容易ですが、人を愛することは、成熟しなければできないからです。

「あなたがたの心が頑ななので、あなたがたに妻を離縁することを許したのです。」。罪びと同士の夫婦が憎しみあい、嫌いあったら、もはやその人生は悲劇であり、醜い戦いとなります。だから、神は、離婚をやむを得ず承認したのです。

そのような男女の壮絶な憎しみ合い、攻撃し合う中で、被害が大きいのが女性であり、そして、神を求めるようになるのが多いのが女性なのです。人生には、いろいろな様相があり、神はそれを見守っておられます。そして、神を求めて救われるならば、それが最も大事なことであり、必要なことなのです。

マタイ19章3~10節

  • 19:3 パリサイ人たちがみもとに来て、イエスを試みるために言った。「何か理由があれば、妻を離縁することは律法にかなっているでしょうか。」
  • 19:4 イエスは答えられた。「あなたがたは読んだことがないのですか。創造者ははじめの時から『男と女に彼らを創造され』ました。
  • 19:5 そして、『それゆえ、男は父と母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりは一体となるのである』と言われました。
  • 19:6 ですから、彼らはもはやふたりではなく一体なのです。そういうわけで、神が結び合わせたものを人が引き離してはなりません。」
  • 19:7 彼らはイエスに言った。「それでは、なぜモーセは離縁状を渡して妻を離縁せよと命じたのですか。」
  • 19:8 イエスは彼らに言われた。「モーセは、あなたがたの心が頑ななので、あなたがたに妻を離縁することを許したのです。しかし、はじめの時からそうだったのではありません。
  • 19:9 あなたがたに言います。だれでも、淫らな行い以外の理由で自分の妻を離縁し、別の女を妻とする者は、姦淫を犯すことになるのです。」
  • 19:10 弟子たちはイエスに言った。「もし夫と妻の関係がそのようなものなら、結婚しないほうがましです。」