「寄留者、奴隷となった後に与えられる。」 創世記15章6~17節

「アブラハムは主を信じた。それで、それが彼の義と認められた。」(6)とされまほうが、実際には、その約束の成就には、「あなたは、このことをよく知っておきなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない地で寄留者となり、四百年の間、奴隷となって苦しめられる。」(13)という500年以上の途方もない年月がかかっているのです。

先週、62年も連れ添った愛妻サラの死にあたっても自らの土地を持たない寄留者であることの悲しみと、高い代価を払って墓地を買うアブラハムの覚悟を話しました。人間は、何らかの足跡を残したいと思うものです。或は、永遠に繋がる神の国への確証を持ちたいと願うものです。
信仰を持っても、人はなかなか天国の確証は得られないものです。得たと信じていても、安易なものが多く自分勝手に信じているように思われます。

「あなたがたは知らないのですか。正しくない者は神の国を相続できません。」(Ⅰコリント6・6)とあり、「淫らな行い、汚れ、好色、偶像礼拝、魔術、敵意、争い、そねみ、憤り、党派心、分裂、分派、ねたみ、泥酔、遊興、そういった類のものです。以前にも言ったように、今もあなたがたにあらかじめ言っておきます。このようなことをしている者たちは神の国を相続できません。」(ガラテヤ5・21)。「あらかじめ言っておきます。」とは、自分は入れると思っている人もいるけれども入れない。誤解では済まない大変なことなのですよという警告です。

今回の葬儀について、儀礼的なこと、わきまえておいたほうが良いことが非常に多いことを改めて確認しました。マタイ22章には、婚礼の席に招かれた人が、礼服を着ていないので「手足を縛って、外の暗闇に放り出せ、この男は泣いて歯ぎしりすることになる。」(13)とイエス様が警告しています。自分の基準では、通じないのです。「招かれる人は多いが、選ばれる人は少ないのです。」(14)。

終末とは、信仰者が淘汰される時です。自分の主義主張を正しいと思っていても、神の基準に会わなかったら「放り出される」のです。怖いことです。「今は恵みの時、救いの日」(Ⅱコリント6・2)は過ぎ去り、「さばきの日」(マタイ10・15)が近づいているのです。「だれかがあなたがたを受けれず、あなたがたの言葉に耳を傾けないなら、その家や町を出て行く時に足のちりを払い落しなさい。」(同10・14)というように頑なな心の人を変えることはできません。

「アブラムは言った。『神、主よ。私がそれを所有することが、何によって分かるでしょうか。』」(8)。彼が指示された通りに献げたものに何も起こらず、却って猛禽がそれを狙って来たので、必死に追い返しました。「日が沈みかけたころ、深い眠りがアブラムを襲った。そして、見よ、大いなる暗闇の恐怖が彼を襲った。」(12)。神に従っても、何の応答もなく、他から攻撃され、さらに、悪魔の存在に恐怖することがあります。信仰生活とは、自分の中から湧き出る不信仰との戦いでもあります。

「アブラハム・イサク・ヤコブの神」(出エ3・16)と言われた神は、その期間、彼らを荒野で寄留者とし、さらに子孫は「四百年の間、奴隷となって苦しめられる。」(13)のです。神は、アブラハムとその教えを受け継ぐ子孫たちに、その信仰の旅の辛さを覚悟させたのです。その後、捧げものの間を強烈な火が通り過ぎて焼き尽くしたのです。

約束の地カナンを所有するまでにそれほどの試練と期間が必要であるならば、信仰者が神の国に入るために、そんなに簡単なもので済むはずがありません。「弟子たちの心を強め、信仰にしっかりとどまるように勧めて、「私たちは、神の国に入るために、多くの苦しみを経なければならない」と語った。」(使徒14・22)。

永遠の喜び、麗しさの中に住む特権を獲得する道が安易なものでないことは自明です。「すべての穢れた者、忌まわしいことや偽りを行う者は、決して都に入れない。入ることができるのは、子羊のいのちの書に記されている者たちだけである。」(黙示録21・27)。

「サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って、聞き届けられました。」(ルカ22・31)。これからの数年に掛けて、天変地異の自然災害は激しくなり、戦争が各地で起こり、多くの人が惑わされます。教会員同士が助け合い、励まし合わなければ到底、生き残りができないでしょう。クリスチャンもその信仰がふるいに掛けられ、相応しくない者は神ご自身が教会から追い出すようになってくるでしょう。真実にイエス・キリストを信じる者は、この終末に目覚めていなければなりません。

「それは、あなたがたを神の国にふさわしいものと認める、神の正しいさばきがあることの証拠です。あなたがたが苦しみを受けているのは、この神の国のためです。」(Ⅱテサロニケ1・5)

創世記15章6~17節

  • 15:6 アブラムは【主】を信じた。それで、それが彼の義と認められた。
  • 15:7 主は彼に言われた。「わたしは、この地をあなたの所有としてあなたに与えるために、カルデア人のウルからあなたを導き出した【主】である。」
  • 15:8 アブラムは言った。「【神】、主よ。私がそれを所有することが、何によって分かるでしょうか。」
  • 15:9 すると主は彼に言われた。「わたしのところに、三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩のひなを持って来なさい。」
  • 15:10 彼はそれらすべてを持って来て、真っ二つに切り裂き、その半分を互いに向かい合わせにした。ただし、鳥は切り裂かなかった。
  • 15:11 猛禽がそれらの死体の上に降りて来た。アブラムはそれらを追い払った。
  • 15:12 日が沈みかけたころ、深い眠りがアブラムを襲った。そして、見よ、大いなる暗闇の恐怖が彼を襲った。
  • 15:13 主はアブラムに言われた。「あなたは、このことをよく知っておきなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない地で寄留者となり、四百年の間、奴隷となって苦しめられる。
  • 15:14 しかし、彼らが奴隷として仕えるその国を、わたしはさばく。その後、彼らは多くの財産とともに、そこから出て来る。
  • 15:15 あなた自身は、平安のうちに先祖のもとに行く。あなたは幸せな晩年を過ごして葬られる。
  • 15:16 そして、四代目の者たちがここに帰って来る。それは、アモリ人の咎が、その時までに満ちることがないからである。」
  • 15:17 日が沈んで暗くなったとき、見よ、煙の立つかまどと、燃えているたいまつが、切り裂かれた物の間を通り過ぎた。