「後ろを振り返らない。」創世記19章15~26節

アブラハムの甥ロトは、アブラハムの祝福を自分も受けて多くの家畜やしもべを持っていましたが、しっかり管理できないので、そのしもべたちはアブラハムのしもべたちに喧嘩を売っていました。それで、アブラハムは、ロトと別れることにして、ロトの選んだ方向に行くことを認め、自らは山地に行くことにしました。

ソドムとゴモラの地は、「主の園のように、またエジプトの地のように、どこもよく潤っていた。」(創世記13・10)。ロトは、「ソドムに天幕を移した。ところが、ソドムの人々は邪悪で、主に対して甚だしく罪深い者たちであった。」(13)。しばらく後に、「ソドムとゴモラの叫びは非常に大きく、また彼らの罪はきわめて重い。わたしは下って行って、わたしに届いた叫びどおりに、彼らが実際に行っているかどうかを見よう。わたしは知りたいのだ。」(創18・20.21.)と、主は視察の途中にアブラハムに会います。アブラハムの執り成しにより、10人の正しい人がいたならば、ソドムを滅ぼさない、と約束するのですが、ソドムは恐るべき俗悪な町でした。10人もいなかったのです。

ソドミーという言葉は、異常な性行動を意味しますが、ソドムが語源です。ロトは、そこから抜け出ることをしませんでした。既に多くの家畜はなくなり、しもべもいなくなり、「よそ者」(19・9)として虐げられていたのは、暴力的な町から守られるために貢ぎをしていたからでしょう。ロトは、懸命に妻と二人の娘を守っていたのですが、既に妻は、邪悪な影響を受けていました。

神は直ちにソドムとゴモラを「硫黄と火」(24)により滅ぼされるのですが、二人の御使いは、「いのちがけで逃げなさい。うしろを振り返ってはいけない。この低地のどこででも立ち止まってはならない。山に逃げなさい。さもないと滅ぼされてしまう。」(17)と指示します。ところが、ロトは、「主よ。どうか、そんなことになりませんように。ご覧ください。このしもべはあなたの心にかない、あなたは私のいのちを救って大きな恵みを与えてくださいました。しかし、私は、山に逃げることができません。わざわいが追いついて、たぶん私は死ぬでしょう。ご覧ください。あそこの町は、のがれるのに近いのです。しかもあんなに小さいのです。どうか、あそこに逃げさせてください。あんなに小さいではありませんか。私のいのちを生かしてください。」(19-20)とごねます。

救いの道を示されているのに、それに従わないで、自分の都合の良い道を探ろうとする、これがロトの弱さであり、愚かさです。罪との決別、神の道を断固として進む強さがないと、結局は滅びの道に入るのです。ロトの妻は、「振り返ったので、塩の柱になってしまった。」(26)。ソドムとゴモラは死海南部に沈みました。塩分と硫黄の為に発掘はされていません。

ユダ書には、「神の恵みを放縦に変え、・・・裁きにあう」(4)とあって、ソドムやゴモラへの「火の刑罰を受けて見せしめにされ」(7)とあります。「放縦」とは、「何の規律もなく勝手にしたいことをすること。」です。日本では、災害が起こると政治や行政を糾弾しますが、自ら為すべきことを吟味して行わなければ、悪に支配されるということを悟っていなければなりません。

ロトは、極悪なソドムから離れなければならなかったのです。神に恵まれた自分の財産を守り、増やさなければならなかったのです。妻子をきちんと教導し、道徳的に生きるようにすべきだったのです。ロトの妻は、なぜ振り返ったのでしょうか。極悪な町と人々に未練があったからです。

熱海の土砂崩れは、注意深く周囲を見ていれば、防げるし、逃れられました。大雨の洪水も、地形を見れば一目瞭然で、逃れられるはずがありません。移転すべきでした。愚かな人と言っては失礼ですが、何もしないで通り過ぎるのを待っている人が多いのです。政府や行政への不満を述べて済ませるのは、愚か者の言い訳に過ぎません。自らが、明日の安全と祝福の為に行動を起こさなければならないのです。

現代は性道徳が退廃していてソドムのようです。クリスチャンが、そのような社会に迎合してはいけません。周囲の人を振り返っていれば、必ず堕落します。それを変だと思い、悔い改めなければ、滅びていくのです。私は、コロナウイルスとワクチンについて、変だと思い多くの本と文献を読みました。そしてワクチンを警告したので、その責任をとってビタミンCの無料治療を申し出ました。自らの感染と多額の出費を覚悟しても、信仰者としての義を守らなければならないと考えたからです。天国と地獄の分岐領は、そのようなことではないでしょうか。

創世記19章15~26節

  • 19:15 夜が明けるころ、御使いたちはロトを促して言った。「さあ立って、あなたの妻と、ここにいるふたりの娘たちを連れて行きなさい。さもないと、あなたはこの町の咎のために滅ぼし尽くされてしまおう。」
  • 19:16 しかし彼はためらっていた。すると、その人たちは彼の手と彼の妻の手と、ふたりの娘の手をつかんだ。──【主】の彼に対するあわれみによる。そして彼らを連れ出し、町の外に置いた。
  • 19:17 彼らを外のほうに連れ出したとき、そのひとりは言った。「いのちがけで逃げなさい。うしろを振り返ってはいけない。この低地のどこででも立ち止まってはならない。山に逃げなさい。さもないと滅ぼされてしまう。」
  • 19:18 ロトは彼らに言った。「主よ。どうか、そんなことになりませんように。
  • 19:19 ご覧ください。このしもべはあなたの心にかない、あなたは私のいのちを救って大きな恵みを与えてくださいました。しかし、私は、山に逃げることができません。わざわいが追いついて、たぶん私は死ぬでしょう。
  • 19:20 ご覧ください。あそこの町は、のがれるのに近いのです。しかもあんなに小さいのです。どうか、あそこに逃げさせてください。あんなに小さいではありませんか。私のいのちを生かしてください。」
  • 19:21 その人は彼に言った。「よろしい。わたしはこのことでも、あなたの願いを入れ、あなたの言うその町を滅ぼすまい。
  • 19:22 急いでそこへのがれなさい。あなたがあそこに入るまでは、わたしは何もできないから。」それゆえ、その町の名はツォアルと呼ばれた。
  • 19:23 太陽が地上に上ったころ、ロトはツォアルに着いた。
  • 19:24 そのとき、【主】はソドムとゴモラの上に、硫黄の火を天の【主】のところから降らせ、
  • 19:25 これらの町々と低地全体と、その町々の住民と、その地の植物をみな滅ぼされた。
  • 19:26 ロトのうしろにいた彼の妻は、振り返ったので、塩の柱になってしまった。