「恐れるな。ダニエル。」ダニエル10章11~21節
1節には「ペルシャ王クロスの第3年」とあるので、紀元前534年で、ダニエルは紀元前606年に17歳でバビロンに捕え移されたとすれば、既に89歳になっています。72年間も異国のバビロニア帝国とメド・ペルシャ帝国でユダヤ人でありながら高い地位を与えられて祖国と同胞を守りながら仕事をし、預言もしてきたダニエルもさすがに高齢になっています。
そのダニエルに再び「大きな戦」(10・1)の幻が与えられました。それで、彼は3週間の喪に服します。歳を取っても、責任ある立場から離れることができず、彼には安らぎがありません。指導者とはそのようなものです。大河チグリス川の畔で、神を想い、時と時代を憂えます。そして、幻を見るのです。ダニエルだけが見て、他の人々には見えませんが、神の臨在を感じて恐れおののき逃げ出します。
「ひとりの人がいて、亜麻布の衣を着、腰にはウファズの金の帯を締めていた。そのからだは緑柱石のようであり、その顔は稲妻のようであり、その目は燃えるたいまつのようであった。また、その腕と足は、みがき上げた青銅のようで、そのことばの声は群集の声のようであった。」(10・5.6)。黙示録1章にある神の子イエスと同じような描写です。
「神は愛である。」(Ⅰヨハネ4・16)で優しいイエス様だけをイメージする人がいますが、「愛のうちにいる者は神のうちにおり」と続いて、自分の為に神が愛してくださることを求めるのではなく、人を愛する行為をする信仰者に神が共におられるからであるという論証です。
「その身体は緑柱石のよう」(6)とは、最古に宝石とされたエメラルドのように輝いているということです。「顔は稲妻のよう」とは、凄まじい雷光と衝撃をもたらす威圧的な顔ということです。「目は燃えるたいまつのよう」とは、燃える光のように物事を見透かすということです。「腕と足とは磨き上げた青銅のよう」とは、ひ弱な存在ではなく、風神雷神のような筋骨逞しいことを示しています。「声は群衆のよう」とは、聞く者の臓物に響いてくるような圧倒的な声量ということです。
この神の子は、裁き主としての顕現で、罪人は神の前に立ちおおせず、大預言者ダニエルでさえ、「力が抜け、力が抜け、顔を伏せて地に倒れ、深い眠りに陥った。」(10・8.9)のです。主は「神に愛されているダニエルよ。」(11)と語り掛け、「私が今から語ることばをよくわきまえよ。そこに立ち上がれ。」と命じます。
さて、ここで「ペルシャの君」や「ギリシャの君」(13.20)という言葉が語られます。それは、国毎にサタンの統率の下で支配者としての悪霊がいるということです。「あなたがたの君ミカエルのほかには、私とともに奮い立って、彼らに立ち向かう者はひとりもいない。」(21)とは天使長ミカエルでなければ対抗できないほどに力が強い悪霊長であるということです。それは日本には日本を支配する悪霊長がおり、韓国には韓国を支配する悪霊長がいるということです。とりわけ、中国の長は強いだろうと思われます。
「恐れるな。ダニエル。あなたが心を定めて悟ろうとし、あなたの神の前でへりくだろうと決めたその初めの日から、あなたのことばは聞かれているからだ。私が来たのは、あなたのことばのためだ。」と主は語り、「ペルシヤの国の君が二十一日間、私に向かって立っていた。」(13)として21日間も霊の戦いがあったことが記されています。
ダニエルが預言を与えられて、イスラエルの国の将来について預言をし、人々を励ますということは、サタンにとって都合の悪いことであり、神の計画をぶち壊そうと悪霊が暗躍していることを示しています。ダニエルのような謙遜な神のしもべでさえ、多くの霊の戦いをして疲れ切るほどでした。
「身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回っています。堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。ご承知のように、世にあるあなたがたの兄弟である人々は同じ苦しみを通って来たのです。」(Ⅰペテロ5・8.9)。神を信じ信頼している者にサタンは手出しできません。神を信じない者は既にサタンに囚われ惑わされています。サタンは「食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回ってい」るので、その節の前に「謙遜を身に着けなさい。」(5)、「思い煩いを神に委ねなさい。」(7)と、「身を慎み、目をさましていなさい。」と共に、「堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。」が必要なのです。
牧師などの説教者ばかりでなく、教会のリーダーたちもサタンに狙われています。信仰を持っていれば、攻撃できないので、「獅子のように歩き回って」脅すのです。恐れてはいけないのです。思い煩ってはいけないのです。
ダニエル10章11~21節
- 10:11 それから彼は私に言った。「神に愛されている人ダニエルよ。私が今から語ることばをよくわきまえよ。そこに立ち上がれ。私は今、あなたに遣わされたのだ。」彼が、このことばを私に語ったとき、私は震えながら立ち上がった。
- 10:12 彼は私に言った。「恐れるな。ダニエル。あなたが心を定めて悟ろうとし、あなたの神の前でへりくだろうと決めたその初めの日から、あなたのことばは聞かれているからだ。私が来たのは、あなたのことばのためだ。
- 10:13 ペルシヤの国の君が二十一日間、私に向かって立っていたが、そこに、第一の君のひとり、ミカエルが私を助けに来てくれたので、私は彼をペルシヤの王たちのところに残しておき、
- 10:14 終わりの日にあなたの民に起こることを悟らせるために来たのだ。なお、その日についての幻があるのだが。」
- 10:15 彼が私にこのようなことを語っている間、私はうつむいていて、何も言えなかった。
- 10:16 ちょうどそのとき、人の姿をとった者が、私のくちびるに触れた。それで、私は口を開いて話し出し、私に向かって立っていた者に言った。「わが主よ。この幻によって、私は苦痛に襲われ、力を失いました。
- 10:17 わが主のしもべが、どうしてわが主と話せましょう。私には、もはや、力もうせてしまい、息も残っていないのです。」
- 10:18 すると、人間のように見える者が、再び私に触れ、私を力づけて、
- 10:19 言った。「神に愛されている人よ。恐れるな。安心せよ。強くあれ。強くあれ。」彼が私にこう言ったとき、私は奮い立って言った。「わが主よ。お話しください。あなたは私を力づけてくださいましたから。」
- 10:20 そこで、彼は言った。「私が、なぜあなたのところに来たかを知っているか。今は、ペルシヤの君と戦うために帰って行く。私が出かけると、見よ、ギリシヤの君がやって来る。
- 10:21 しかし、真理の書に書かれていることを、あなたに知らせよう。あなたがたの君ミカエルのほかには、私とともに奮い立って、彼らに立ち向かう者はひとりもいない。
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