「命懸けで祈るダニエル。」ダニエル6章16~24節

ダニエルの預言の通りにバビロニア帝国は一夜にして、ユーフラテス川を堰き止めて侵入したペルシャ帝国に滅ぼされました。しかし、ダニエルは預言によって警告していたことが知られていたので、そのまま3人の大臣の一人に任命されたのです。

クリスチャンが世の中で活躍する為には、非難や攻撃を受けないように注意する必要があります。ところが多くの人は基準が世の中のものなので、安易に失敗して挫折します。「神が守ってくださる。」と神任せにする人が多いのです。「大臣や太守たちは、国政についてダニエルを訴える口実を見つけようと努めたが、何の口実も欠点も見つけることができなかった。彼は忠実で、彼には何の怠慢も欠点も見つけられなかったからである。」(6・4)。信仰を持つということはゴールではなく、神の国へのスタートなのです。そして、サタンも罪びとも、私たちを神の国へと行かせない為に多くの攻撃をし、罠を仕掛けるのです。

「王よ。国中の大臣、長官、太守、顧問、総督はみな、王が一つの法令を制定し、禁令として実施してくださることに同意しました。すなわち今から三十日間、王よ、あなた以外に、いかなる神にも人にも、祈願をする者はだれでも、獅子の穴に投げ込まれると。」(6・7)。彼らは、「ダニエルは、その文書の署名がされたことを知って自分の家に帰った。─彼の屋上の部屋の窓はエルサレムに向かってあいていた。─彼は、いつものように、日に三度、ひざまずき、彼の神の前に祈り、感謝していた。」(10)
となることを知っていたのです。

信仰者にとって祈ることは命です。祈ることを邪魔するものは、実は私たち自身なのです。ダニエルは国中の指導者が自分を攻撃し罠に掛けようとしていることを知って、いつものように祈ったのです。祈ることが死に繋がるという法律が出されても祈ったのです。

「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。」(ピリピ4・6)とあるように、思い煩うことがあるとしても、それを打ち捨てて感謝をして祈るのです。思い煩うと、祈りの形をとっても思い煩いに心が取られて神に聞くことができないのです。悩んでいるだけになってしまって、神に愚痴を言い、助けを乞うだけになってしまうのです。そういう時は、異言の祈りを長く続けることが大事です。

「御霊も同じようにして、弱い私たちを助けてくださいます。私たちは、どのように祈ったらよいかわからないのですが、御霊ご自身が、言いようもない深いうめきによって、私たちのためにとりなしてくださいます。」(ローマ8・26)。どうしたら良いのかわからない時、多くの場合、自分の思う通りにならない困難ばかりを見てしまうのです。そして、思い通りになることを願い祈るのです。それでは神の御心に沿った行動は取れず、惑わされて葛藤ばかりが心を占めるのです。

ダニエルは、訴える者達の思惑通りに「神に祈り求め、哀願しているのを見つけ」6・11)られます。そして、ライオンの穴に投げ込まれます。この時のダニエルの姿を描いた絵は数多くあります。それは宗教や民族の如何を超えた多くの人に感銘を与える信仰に徹した偉人の姿だからです。

神は、「うまくいかなかったらどうしよう。」と思い悩む人を助けることはできません。なぜなら、神を信じ信頼していない人を助けても、その人の益にも神の栄光にもならないからです。私たちは目の前にある物事がうまくいき、楽しく問題なく過ごすことを望んでいます。しかし、それでは私たちが神の国に相応しい人間になることはなく、この社会においても役に立たない人になってしまいます。

ダニエルをライオンの穴に入れた王は心配で断食をし、眠ることもできませんでした。「生ける神のしもべダニエル。あなたがいつも仕えている神は、あなたを獅子から救うことができたか。」(20)。神を信じない人々や不信仰な人々は、奇跡が起こることをあり得ないと考えています。神が介入して奇跡を起こされるときは、そのような時に神に献身し委ね祈りの中にいる人の為です。

私自身多くの奇跡を体験していますが、それは大きな問題、試練、困難や迫害の時でした。思い起こすと、もしそれぞれの時に、思い悩んでいたり、言い訳をして妥協していたら、私たちはかなり酷い状況に落ち込んでいたでしょう。皆さんに証ししていますが、「信仰も行いが伴わないなら、それだけでは死んだものです。」(ヤコブ2・17)。「主よ、主よ。と言う者がみな天の御国に入るのではなく、天におられるわたしの父の御心を行う者が入るのです。」(マタイ7・21)。ダニエルは救われ、中傷した者たちはライオンに食べられました。神を待ち望み、祈り続けましょう。

ダニエル6章16~24節

  • 6:16 そこで、王が命令を出すと、ダニエルは連れ出され、獅子の穴に投げ込まれた。王はダニエルに話しかけて言った。「あなたがいつも仕えている神が、あなたをお救いになるように。」
  • 6:17 一つの石が運ばれて来て、その穴の口に置かれた。王は王自身の印と貴人たちの印でそれを封印し、ダニエルについての処置が変えられないようにした。
  • 6:18 こうして王は宮殿に帰り、一晩中断食をして、食事を持って来させなかった。また、眠けも催さなかった。
  • 6:19 王は夜明けに日が輝き出すとすぐ、獅子の穴へ急いで行った。
  • 6:20 その穴に近づくと、王は悲痛な声でダニエルに呼びかけ、ダニエルに言った。「生ける神のしもべダニエル。あなたがいつも仕えている神は、あなたを獅子から救うことができたか。」
  • 6:21 すると、ダニエルは王に答えた。「王さま。永遠に生きられますように。
  • 6:22 私の神は御使いを送り、獅子の口をふさいでくださったので、獅子は私に何の害も加えませんでした。それは私に罪のないことが神の前に認められたからです。王よ。私はあなたにも、何も悪いことをしていません。」
  • 6:23 そこで王は非常に喜び、ダニエルをその穴から出せと命じた。ダニエルは穴から出されたが、彼に何の傷も認められなかった。彼が神に信頼していたからである。
  • 6:24 王が命じたので、ダニエルを訴えた者たちは、その妻子とともに捕らえられ、獅子の穴に投げ込まれた。彼らが穴の底に落ちないうちに、獅子は彼らをわがものにして、その骨をことごとくかみ砕いてしまった。