「創造主の技術。」ローマ1章18~20節 宇佐神 実 牧師

今日の聖書箇所を見ると、創造主である「神の怒りが天から啓示されている」とあります。この「怒り」は、中国語では「憤怒」と訳され、英語では「激怒(WRATH)」と訳されています。何よりも人を愛しておられる神がなぜそれほど怒っておられるのでしょう。

 みなさんはどんな時に憤りを感じますか。受けるべき尊敬を受けない時、皆さんの手柄が他人の手柄になる時、憤りを覚えて当然です。神様は、ご自身が受けるべき尊敬を受けず、神様のなさった業が他の者の業とみなされていることに激怒されているのです。

 聖書は、「神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められ、弁解の余地はない」と述べています。私たちが被造物に目を向けるなら、創造主の永遠の力と神性をはっきりと知り、認めることができるというのです。ですから被造物に目を向けることが大切です。

 実は、多くの科学者や技術者が自然に目を向け、そこに隠されている素晴らしい技術を真似できないかと苦心しています。なぜなら、自然の中に隠されている技術は、人間の思いもしないようなすばらしいものだったり、とても人に真似のできないものだったりするからです。

 最近の旅客機の翼は先端部が上に曲がっているのをご存知でしょうか。これは鳥のツバサの先端部が上に曲がっているのを研究して真似したものです。これによって鳥の消費カロリーが抑えられているのがわかり、これを真似したことで飛行機も燃料の消費を抑えることができました。

 新幹線500型の先端部の形は、カワセミのくちばしの形状をそっくりそのまま真似したものです。カワセミは、魚を捕えるために時速120kmで水に飛び込むことがありますが、ほとんど水しぶきをたてません。この秘訣がくちばしの形状にあることがわかりました。これをヒントに新幹線500型が設計され、トンネル通過の際に発生する破裂音、トンネルドン現象を抑えることができたのです。

 最近の戦闘機で垂直翼が二つあるのは、ツバメの尾が2本に分かれているのをヒントに設計されました。これによって高速でも安定して急旋回できるようになりました。

 このほか、マジックテープはゴボウの実をヒントに作られ、ヨーグルトがくっつかないヨーグルトのフタは、ハスの葉をヒントに開発されました。このように、科学者や技術者は、自然の中に隠されている素晴らしい技術を教科書として、人の生活や活動に役立てています。

しかしそれでも、すべての自然の技術を人が真似できるわけではありません。なぜなら、自然の技術の方がはるかに優れていて、人には模倣不可能だからです。たとえば、ヤモリは足の裏に生えている毛と物質の間に生じるファンデルワールス力(りょく)で壁や天井などを歩きます。人は研究を重ねてヤモリの足の毛のような合成繊維の毛をテープなどにつけることでまるでヤモリの足のようにファンデルワールス力でテープを壁に貼り付けることが可能になりました。しかし、何度も繰り返し使うと毛先が磨耗して張り付く力が弱まります。ヤモリも同様に毛先が摩耗しますが、毛が生え変わるため壁を登れなくなることはありません。人はテープの毛を自動的に生えかわらせることなどとてもできません。そのことを考えると、ヤモリの足の毛のしくみは人間の技術をはるかにこえているのです。

 自然の中に見られる技術を人は真似しながら技術を発展してきました。このような技術がいつの間にか偶然に自然にできてしまうことがあるでしょうか。たとえばマジックテープが自然にいつの間にかできるでしょうか。決してそのようなことはありません。聖書は自然界に存在する動植物などを被造物、すなわち創造主によって造られたと教えています。ですから、自然界にみられる様々な技術は創造主の技術です。そしてその創造主の技術を私たち人間が真似て私たちの生活に役立てているのです。

 そういうわけで、聖書は神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められると教えているのです。創造主は私たちが生きるのに必要なすべてのものを与えてくださり、私たちは創造主の技術によって生活を豊かにさせていただいています。ですから私たちが創造主に感謝を捧げるのは当然ですよね。

 しかし人が創造主などいないと考え、無視し、感謝もしないので、創造主が激怒していると聖書は語っているのです。創造主の存在を認め、日々感謝して生きていこうではありませんか。そうするなら、創造主は私たちの感謝を喜んで受けてくださるのです。

ローマ1章18~20節

  • 1:17 なぜなら、福音のうちには神の義が啓示されていて、その義は、信仰に始まり信仰に進ませるからです。「義人は信仰によって生きる」と書いてあるとおりです。
  • 1:18 というのは、不義をもって真理をはばんでいる人々のあらゆる不敬虔と不正に対して、神の怒りが天から啓示されているからです。
  • 1:19 それゆえ、神について知られることは、彼らに明らかです。それは神が明らかにされたのです。
  • 1:20 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。
  • 1:21 それゆえ、彼らは神を知っていながら、その神を神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなりました。
  • 1:22 彼らは、自分では知者であると言いながら、愚かな者となり、
  • 1:23 不滅の神の御栄えを、滅ぶべき人間や、鳥、獣、はうもののかたちに似た物と代えてしまいました。
  • 1:24 それゆえ、神は、彼らをその心の欲望のままに汚れに引き渡され、そのために彼らは、互いにそのからだをはずかしめるようになりました。
  • 1:25 それは、彼らが神の真理を偽りと取り代え、造り主の代わりに造られた物を拝み、これに仕えたからです。造り主こそ、とこしえにほめたたえられる方です。アーメン。