「背く者は平らな主の道に躓く。」 ホセア14章1~9節

歩く時、足の先が物に引っかかって転びそうになることを躓くといいます。加齢によって筋肉が萎縮したり、神経が変性したりすると躓き易くなります。股関節が変形して地面をしっかり踏めなかったり、脳梗塞があったり、視力や視野の狭窄でも、パーキンソン病などでも躓き易くなります。

また、比喩的に、途中で困難があったり、障害があったりして、先に進めなくなることを躓くとも言います。それは、心理的、精神的な原因が躓きの原因となります。若い時には、心が弱くて躓き易く、歳を取ると、身体が弱くて躓き易くなるということでしょう。

「聖書にこう書いてあるからです。『見よ、わたしはシオンに、選ばれた石、尊い要石を据える。この方に信頼する者は決して失望させられることがない。』したがってこの石は、信じているあなたがたには尊いものですが、信じていない人々にとっては、『家を建てる者たちが捨てた石、それが要の石となった』のであり、それは『つまずきの石、妨げの岩』なのです。彼らがつまずくのは、みことばに従わないからであり、また、そうなるように定められていたのです。」(Ⅰペテロ2・6-8)。

信仰生活は躓くことばかりです。この世の考え方、合理的な生活、損得から考えれば、神を信じて生きることは不合理なのです。教会に参加して、礼拝に時間を費やし、献金をし、奉仕まですることは、自分勝手に生きる人からしたら愚かに他なりません。人生という「家を建てる者たち」にとっては自分優先に生きなければうまくいかないとして「捨てた石」となるのです。

実は、神は、信者に、この「つまずきの石、妨げの岩」をわざわざ置きます。それは「みことばに従う」かどうかを確認するためです。神中心なのか、自分中心なのかは、この「つまずきの石、妨げの岩」にぶつかった時に、「みことばに従う」か、自分の判断に従うかなのです。

イエス様は、冷たいお方ではありません。「わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがつまずくことのないためです。」(ヨハネ16・1)と、信者の試練や迫害を伝えており、「あなたがたのところに助け主を遣わします。」(16・7)と諭しています。さらに、その助け主は、「真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導いてくださいます。御霊は自分から語るのではなく、聞いたことをすべて語り、これから起こることをあなたがたに伝えてくださいます。御霊はわたしの栄光を現されます。」(同13.14)と全て順調にいくように取り計らってくださるのです。

信じて神の国に導かれる者は、「躓きの石」に躓かず、「みことばに従」い、「御霊に導かれ、栄光を現わす」のです。多くの者は、「躓きの石」に躓き、「みことばに従」わず、不平・不満を言い、自らを正当化してこの世の道に戻っていくのです。イエス様の配慮にも関わらず人間は罪深いのです。

それでも、「イスラエルよ。あなたの神、主に立ち返れ。あなたは自分の不義につまずいたのだ。」(14・1)と神は語り掛けてくださいます。大事なことは、悔い改めです。「主に言え。」(2)。「わたしは彼らの背信を癒し、喜びをもって彼らを愛する。」(4)。人の弱さ、愚かさは天候のようであり、神は信者には「露のようになる。」(5)のです。その露で、レバノン杉、オリーブの木、穀物、ぶどうの木などが、力強く成長していくのです。

「義人の道は平らです。あなたは義人の道筋をならして平らにされます。」(新改訳イザヤ26・7)。新改訳2017の訳ですと「正しい人の行く道は平らです。」となりますが、私は前の訳に感動したものです。その前に「志の堅固な者を、あなたは全き平安のうちに守られます。その人があなたに信頼しているからです。」(イザヤ26・3)とあるように、私は躓きたくなるような時にも、みことばに従い、信仰によって生きることを選んできました。振り返ると、本当に良かったと思います。歩んでいくうちに、まさに神がその道をならしてくださったのです。困難が消えていったのです。信仰を保ってきた人も、同じようだと思います。

信仰者にも不信仰者にも「つまずきの石、妨げの岩」はあります。問題にぶつかってたじろぎ、それを乗り越えようとしないと、いつも不平・不満が残るでしょう。そして、次々に出くわす躓きの石に躓いて惨めな人生を過ごしてしまうのです。

石に躓くのは老化が大きく原因していますが、困難に躓くのは心の老化が原因しています。神の国への長い道は、躓きの石だらけです。転ばないように注意し、助け合い、慰め合って、さらに手をつないで歩んでいきましょう。人に助けを求めないことは心の老化です。それでは神へも助けを求められないでしょう。

ホセア14章1~9節

  • 14:1 イスラエルよ。あなたの神、【主】に立ち返れ。あなたは自分の不義につまずいたのだ。
  • 14:2 あなたがたはことばを用意し、【主】に立ち返れ。主に言え。「すべての不義を赦し、良きものを受け入れてください。私たちは唇の果実をささげます。
  • 14:3 アッシリアは私たちを救えません。私たちはもう馬に乗らず、自分たちの手で造った物に『私たちの神』と言いません。みなしごがあわれまれるのは、あなたによってです。」
  • 14:4 「わたしは彼らの背信を癒やし、喜びをもって彼らを愛する。わたしの怒りが彼らから離れ去ったからだ。
  • 14:5 わたしはイスラエルにとって露のようになる。彼はゆりのように花咲き、レバノン杉のように根を張る。
  • 14:6 その若枝は伸び、その輝きはオリーブの木のように、その香りはレバノン杉のようになる。
  • 14:7 その陰に住むものたちは、穀物のように生き返り、ぶどうの木のように芽をふく。その名声はレバノンのぶどう酒のようになる。
  • 14:8 エフライムよ。わたしと偶像との間に、どういう関わりがあるか。わたしが応え、わたしが世話をする。わたしは緑のもみの木のようだ。わたしから、あなたは実を得るのだ。」
  • 14:9 知恵ある者はだれか。その人はこれらのことを悟れ。悟りのある者はだれか。その人はそれらのことをよく知れ。【主】の道は平らだ。正しい者はこれを歩み、背く者はこれにつまずく。