「時が近い!」黙示録22章10~12節 櫻井圀郎協力牧師
Ⅰ 預言の開封
「封印」とは、責任者の印を押して、他人が無断で開けないようにする事です。主イエスの墓には封印がされ(マタイ27:66)、悪魔の場合は、底知れぬところに閉じ込められて封印されます(黙20:3)。
黙示録には、7つの封印がなされた巻物があり、その封印を解く事が新しい世界の開始、逆に言えば今の世界の終結とされており、それを基督が解くことが預言されています(黙5:1-8:1)。
それに対して、黙示録に記録されている全ての事については、基督は封印を禁じております。とかく貴重な文書は厳重に封印されて保管されるものですが、基督は封印を禁じ、一般公開を求めています。
その理由は、時が近いからです。「何の時」かと言えば、世界の「完結の時」です。「世の終わり」とか、「世界の終末」などと言われますが、単なる終点とではなく、完成の時、完了の時、完結の時なのです。
言わば、現世は、完結を目指して歩んでいる途上なのです。無神論、進化論では、終末とは破局であり、破滅です。無計画に動いている世界なので、完成はありません。
しかし、神によって創造されたこの世界は、神の意思に基づいて創造され、神の意思によって運行され、究極の目的に向かって進んでいるのです。それが「完結の時」です。
Ⅱ 聖を重ねよ
基督は、「悪人は悪を重ね、穢人は穢を重ね、義人は義を重ね、聖徒は聖を重ねよ。」と言います。文字通りに解すれば、「最早、どうこうすることもできない」という事になります。これほど怖いことないですね。
あえて、悪人に「悪を改め、正義を目指せ」とは言わず、穢れ人に「穢れを離れ、正を目指せ」とは言わずに、「どんどん悪を行え」「どんどん穢れを行い」と言うのです。最高の福音ではないでしょうか。
当然、「義人は義を重ねて、高い義に至り、聖徒は聖を積んで、大聖徒になれ」というメッセージです。「義人と思っていたら大間違い。それでは失格だぞ。聖徒と呼んで呼ばれているなら、基督の御丈と比べてみろ。」と言われているように感じられます。
Ⅲ 行いに応じ
黙示録には、「直に来る」という表現が、ここを含めて4回出てきます(3:11, 22:7,12,20)。
ここで問題になるのが、というか、昔から問題にされて来たのが「直に来る」という意味です。「直ぐ」「直ちに」「速やかに」って、どういうことでしょうか。
「直ちに」「直ぐに」「速やかに」とは、事情や状況に応じて時間を置くことなく対処することでしょう。
それにしても、基督が「直ぐ来る」と言われてから、ヨハネの生涯にも現れませんでしたし、初代教父の時代にも、中世にも、近世になり、近代になっても、現代になっても、来られないままというのは如何なものでしょうか。
ということで、「嘘つき神学」とか言われたりしています。
私たちは、神によって造られた地球の上で生かされていますから、地球の自転に合わせた時間で生活していますが、神は創造主ですから造られた世界に拘束されません。時間のない永遠の存在なので、天地創造も、基督の十字架も、現在も、終末も、私たちの感覚で言えば「同じ時」なのです。
その意味では、基督の昇天も、基督の再臨も、「同じ時」であり、「直ちに」なのです。それを展開すると「予測ができない」「突然に」という意味にもなります。
福音書に語られた喩えによれば、畑に二人いると一人は取られ、一人は残され、二人の女が臼を引いていると一人は取られ、一人は残されると書かれています(マタイ24:40-41、ルカ17:35)。
基督は「行いに応じ各人に報う我が報い、我に在り」と言います。全ての人間は、神の代官として、神の仕事に奉仕するために創造された(創世記1:26-28)のです。その意味で、世界の完結の時に、与えられる基督の報いとは奉仕の対価でしょう。「我に在り」という言葉で、その対価が基督の評価に基づく事が示されています。
基督による完全な評価に基づいて、一人一人に、その行いに応じて、対価が与えられるのです。決して、信じたら天国というほど単純ではないでしょう。
黙示録22章10~12節
- 22:10 また私に言った。「この書の預言のことばを封じてはなりません。時が近いからです。
- 22:11 不正を行う者には、ますます不正を行わせ、汚れた者は、ますます汚れた者とならせなさい。正しい者には、ますます正しいことを行わせ、聖なる者は、ますます聖なる者とならせなさい。」
- 22:12 「見よ、わたしはすぐに来る。それぞれの行いに応じて報いるために、わたしは報いを携えて来る。
彼(基督)、我(ヨハネ)に言う。「この書物の預言の言葉を封印する勿れ。時が近い故なり。悪人は悪を重ね、汚人は汚を重ね、義人は義を重ね、聖人は聖を重ねよ。見よ。我直ちに来る。行いに応じ各人に報う我が報い、我に在り。」
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