「永遠に続く国を神が起こされる。」ダニエル2章36~45節

先週は、強大な帝国を支配するネブカデネザル王の緊張状態をお話ししました。注意するべきは、王は、人の知恵や分析による助言や解説を信用していなかったことです。人は、助言や経験を参考にして判断をしますが、実は、多くの人は、自分にとって都合の良いものを採用するだけで、解決にはならず、問題を先延ばしするだけのものなのです。王は、卓越した判断と指導をしてきたので、自分を超えた助言が必要であると判断したのです。

ダニエルは、自分を殺そうとする王の親衛隊長に「知恵と思慮深さをもって対応した。」(2・14)。そして、三人の友に祈りを頼み、「その時、夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに明らかにされた。」(2・19)。信仰者でありながら、神に真摯に祈らず、経験や人の意見によって判断する人が多いのです。

「知恵と力は神のもの。神は季節と時を変え、王を廃し、王を立て、知者には知恵を、理性のある者には知識を授けられる。」(2・20.21)。神こそが、私たちに知恵を与えてくださるのですが、神に知恵を求める知者はあまりいません。神こそが時代を支配し、国も指導者も興廃させるのです。例えば、皆さんは、新型コロナワクチンの接種について、真剣に神に祈ったでしょうか。私が多くの情報を伝え、苦闘していることはご存知だと思いますが、ご自分の命について、自分で祈らずに安易に判断してはいないでしょうか。

私は、なぜ、神はネブカデネザル王に、このような夢と不安と疑問を与えたかを考えました。「王の王である王さま。天の神はあなたに国と権威と力と光栄とを賜い、また人の子ら、野の獣、空の鳥がどこに住んでいても、これをことごとく治めるようにあなたの手に与えられました。」(37.38)。同様に、あなたにもそれぞれの環境と能力を与えられ、神は、それらをどのように処理するか委ねられました。

私たちは、何気なく毎日を過ごしています。判断が間違ったら死ぬことはないと考えています。医療従事者として、牧師として、社会人として、私は多くの間違った判断というか、判断をしないで道を誤った人々を見てきました。人間とは、死ぬまで自分だけは死なないと思い、どうにかなると思って生きている愚か者です。

さて、王の見た夢は、宗教的な偶像ではなくて人の像でした。金の頭であるバビロニア帝国の次に胸と両腕が銀であるメドペルシャ帝国、そして腹と腿は青銅であるギリシャ帝国、そして脛は鉄であるローマ帝国、そのローマ帝国は足と足指が入り混じった脆い国になり、その時代に「天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。」(44)と、神の国が現れ、現世の国々を滅ぼし尽くすことを預言するのです。ですから、中国の台頭もアフガンのイスラム化も、世界中の国々の勃興も神の手の中にあるのです。

新型コロナの流行と被害も、「大きな地震があり、方々に飢饉や疫病が起こり」(ルカ21・11)の現われと見えます。飢饉は、世界中でひどいものになっており、そのうちに地震や噴火が起こるでしょう。「サタンがあなた方を麦のようにふるいに掛けることを願って、聞き届けられました。」(ルカ22・31)は、現実のものです。

ダニエルは、前にも述べたように、中東ではイスラム教徒を含めて大変尊敬されています。それは、単に宗教指導者、預言者というだけでなく、現実の世界の指導者としても卓越しており、さらに多くの奇跡や働きをした人だからです。王は、ダニエルの前にひれ伏し、ダニエルを長官としました。ところが、この後、多くの人々の利権や宗教に支障をきたすことになり、更に多くの試練を受けることになります。

ダニエルは、それらの試練や攻撃にも動じないで、信仰を貫き、「私は、顔を神である主に向けて断食をし、粗布をまとって灰をかぶり、祈りと哀願をもって主を求めた。」(ダニエル9・3)というような真摯な姿を見せています。

「あなたがたの心が、放蕩や深酒や生活の思い煩いで押しつぶされていて、その日が罠のように、突然あなたがたに臨むことが無いように、よく気を付けなさい。・・・人の子の前に立つことができるように、いつも、目を覚まして祈っていなさい。」(ルカ21・34-36)

ダニエル2章36~45節

  • 2:36 これがその夢でした。私たちはその解き明かしを王さまの前に申し上げましょう。
  • 2:37 王の王である王さま。天の神はあなたに国と権威と力と光栄とを賜い、
  • 2:38 また人の子ら、野の獣、空の鳥がどこに住んでいても、これをことごとく治めるようにあなたの手に与えられました。あなたはあの金の頭です。
  • 2:39 あなたの後に、あなたより劣るもう一つの国が起こります。次に青銅の第三の国が起こって、全土を治めるようになります。
  • 2:40 第四の国は鉄のように強い国です。鉄はすべてのものを打ち砕いて粉々にするからです。その国は鉄が打ち砕くように、先の国々を粉々に打ち砕いてしまいます。
  • 2:41 あなたがご覧になった足と足の指は、その一部が陶器師の粘土、一部が鉄でしたが、それは分裂した国のことです。その国には鉄の強さがあるでしょうが、あなたがご覧になったように、その鉄はどろどろの粘土と混じり合っているのです。
  • 2:42 その足の指が一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。
  • 2:43 鉄とどろどろの粘土が混じり合っているのをあなたがご覧になったように、それらは人間の種によって、互いに混じり合うでしょう。しかし鉄が粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません。
  • 2:44 この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。
  • 2:45 あなたがご覧になったとおり、一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と青銅と粘土と銀と金を打ち砕いたのは、大いなる神が、これから後に起こることを王に知らされたのです。その夢は正夢で、その解き明かしも確かです。」