「敗北を認め悔い改める。」ヨシュア7章6~15節

今日は終戦記念日ですが、本来は敗戦記念日です。第二次世界大戦参加は、日本の指導者による愚かな政策ですが、原爆2つが落とされるまで敗戦を認めなかったのは、戦争犯罪責任を逃れるためでした。連合軍は、戦争犯罪人を罰しています。靖国神社は、明治以来の国家の為に殉難した人の霊を祀る(神として崇める)神社ですが、そのA級戦犯をも合祀しているのです。あれだけ悲惨な日々をもたらした責任者を恨むことも罰することもしないで神として崇めるという精神風土は、異常なものです。昭和天皇でさえA級戦犯の合祀を理由に親拝を止めています。

隣りの国の「恨」文化と日本の文化は両極端にあるでしょう。ただ、日本の靖国風土は古来からあり、敵であった者の関係者の恨みや因縁を断って、仲良く暮らそうというところからもありました。菅原道真の祟りを恐れて造られた天満宮などがそうです。つまり、恨みや怒りを恐れた鬼神礼拝です。悪人を裁く勇気がないのです。

「水に流す」とは、穢れや邪悪なものを川に流して清めてしまおうという意味で、過去にあったことをなかったことにするという日本独自の人間関係の極意として用いられます。子供の頃、大人たちが川に何でも流してしまうことに違和感を覚えました。下流の人々の苦労を考えない勝手な行いです。水に流すことを強調するのは、ずるい人々、悪人、権力者であって、下流の人々、善良な人々にとっては、迷惑なことです。

神の裁き、最後の審判がキリスト教の重要な教理ですが、これをしっかりと受け入れないと罪の赦しも、神の祝福もありません。つまり、自分の罪を「水に流せるもの」とか、「忘れられるもの」とか、「怒れば恐れられるもの」とか、「誤魔化せるもの、言い訳のできるもの」などと考えてはいけないからです。

今日の聖句は、強大な城壁都市エリコを打ち破り、調子に乗っていたヨシュアが小さな町アイを攻める時に、「二、三千人ぐらいを上らせて、アイを討たせるとよいでしょう。」(ヨシュア7・3)という安易な部下の提案に乗り、惨めな敗北をした時のものです。7節から9節の泣き言は愚かなものです。それでも、「ヨシュアは着物を裂き、イスラエルの長老たちといっしょに、主の箱の前で、夕方まで地にひれ伏し、自分たちの頭にちりをかぶった。」(6)と、しっかりと人々の前で悔い改めているのは立派です。

主なる神は、そこでアカンがエリコの町にあった聖絶すべきものを自分のために隠しておいたことを暴き出します。アカンは、何回もされるくじで次第に自分が暴き出されるのを恐れながら隠れていました。多くの人々の中で一人だけ誤魔化して盗んだのに、ばれるはずがないと考えていたのです。アカンが盗んだのは、美しい外套一着、銀2300g、金570g、現在の価格で約400万円、これで命を落としたのです。

私が、自分の子どもたちに言うことは、「一番高く付くのは意地。これに気を付けなさい。」。意地を張って、嘘をつく、人と争う。ごまかしをする。成績を争う。地位を追い求める。・・・。ろくなことはありません。戦犯が、敗戦がわかっているのに負けを認めなかったのも、意地が大きな要因でしょう。意地の為に数百万人の人を死なせたのです。会社が倒産するのも、社長の意地が原因ということはよくあります。夫婦仲が悪いのも、双方の意地があるでしょう。これで家庭が崩壊し、地獄絵図となるのです。謝るということができないのです。負けを認めるということができないのです。

同じようなことが新約の時代にもあります。教会の創設期にアナニヤとサッピラという夫婦がバルナバを真似て、有力な地位を得る為に、代金の一部を自分の為に取っておいた上で、全額であると嘘を言って教会に献げました。「あなたは人を欺いたのではなく、神を欺いたのだ。」(使徒5・4)とペテロに指摘され、直ちに息が絶えたのです。また、その妻も「ペテロは彼女にこう言った。『あなたがたは地所をこの値段で売ったのですか。私に言いなさい。』彼女は『はい。その値段です』と言った。そこで、ペテロは彼女に言った。『どうしてあなたがたは心を合わせて、主の御霊を試みたのですか。見なさい、あなたの夫を葬った者たちが、戸口に来ていて、あなたをも運び出します。』 すると彼女は、たちまちペテロの足もとに倒れ、息が絶えた。入って来た青年たちは、彼女が死んだのを見て、運び出し、夫のそばに葬った。」(使徒5・8-10)。

平気で嘘や誤魔化し、誇張を言う人がいます。真実を言わず、黙っている人がいます。過去に犯した嘘が、時を経たら流れ去り、わからなくなるというものではありません。サタンは「敵対する者」、「訴える者」という意味を持ちます。嘘や誤魔化しをそのままにすると必ずサタンの罠に陥ります。

ヨシュア7章6~15節

  • 7:6 ヨシュアは着物を裂き、イスラエルの長老たちといっしょに、主の箱の前で、夕方まで地にひれ伏し、自分たちの頭にちりをかぶった。
  • 7:7 ヨシュアは言った。「ああ、神、主よ。あなたはどうしてこの民にヨルダン川をあくまでも渡らせて、私たちをエモリ人の手に渡して、滅ぼそうとされるのですか。私たちは心を決めてヨルダン川の向こう側に居残ればよかったのです。
  • 7:8 ああ、主よ。イスラエルが敵の前に背を見せた今となっては、何を申し上げることができましょう。
  • 7:9 カナン人や、この地の住民がみな、これを聞いて、私たちを攻め囲み、私たちの名を地から断ってしまうでしょう。あなたは、あなたの大いなる御名のために何をなさろうとするのですか。」
  • 7:10 主はヨシュアに仰せられた。「立て。あなたはどうしてそのようにひれ伏しているのか。
  • 7:11 イスラエルは罪を犯した。現に、彼らは、わたしが彼らに命じたわたしの契約を破り、聖絶のものの中から取り、盗み、偽って、それを自分たちのものの中に入れさえした。
  • 7:12 だから、イスラエル人は敵の前に立つことができず、敵に背を見せたのだ。彼らが聖絶のものとなったからである。あなたがたのうちから、その聖絶のものを一掃してしまわないなら、わたしはもはやあなたがたとともにはいない。
  • 7:13 立て。民をきよめよ。そして言え。あなたがたは、あすのために身をきよめなさい。イスラエルの神、主がこう仰せられるからだ。『イスラエルよ。あなたのうちに、聖絶のものがある。あなたがたがその聖絶のものを、あなたがたのうちから除き去るまで、敵の前に立つことはできない。
  • 7:14 あしたの朝、あなたがたは部族ごとに進み出なければならない。主がくじで取り分ける部族は、氏族ごとに進みいで、主】が取り分ける氏族は、家族ごとに進みいで、主が取り分ける家族は、男ひとりひとり進み出なければならない。
  • 7:15 その聖絶のものを持っている者が取り分けられたなら、その者は、所有物全部といっしょに、火で焼かれなければならない。彼が主の契約を破り、イスラエルの中で恥辱になることをしたからである。』」