「試練に備える配慮。」創世記47章1~9節

ここは、ヤコブがエジプトのパロを祝福した、というので知られた箇所です。その外にもヨセフの知恵と配慮がふんだんにあります。まず、兄弟十一人の中から五人を選んでいます。四九章を読むとヤコブがそれぞれの性格と行いに従って、預言をしています。ルベンとユダは間違いなく選ぶでしょう。ゼブルンは海上貿易で祝されます(13)。ガドも攻撃に備えていて強いことがわかります(19)。アシュルは農業を営み、美味しい作物を得ることができます(20)。この五人であろうと私は推測します。失格は、乱暴なシメオンとレビ、ベニヤミンも喧嘩早いことがわかります。イッサカルは「ろば」(14)と呼ばれるので、意思も努力ものない体力だけの人間です。ダンは勝手に歩むので人との協力はできないように記されます(17)。ナフタリは自ら楽しく生きることを選ぶ人でしょう(21)。父ヤコブは、十二人の子どもたちことをよく知っており、そのことが将来の神の祝福や子孫の歩みにも繋がることを祈りの中で教えられるのです。「彼は彼らを祝福したとき、おのおのにふさわしい祝福を与えたのであった。」(49・28)

次の配慮は、エジプト人とは一緒に住まないようにしたことです。「羊を飼う者」(3)と彼らの職業を強調し、「そうすれば、あなたがたはゴシェンの地に住むことができるでしょう。羊を飼う者はすべて、エジプト人に忌みきらわれているからです。」(46・34)。現代ユダヤ人の信仰と生活の指導書となっているタルムードには、政治とはなるべく関わらないようにとありますが、大事なことです。多くの男性は、権力を握ろうとして政治や権力者と結びつこうとしますが、愚かなことです。信仰者は、思い通りの人生を生きようとしてはなりません。

ヨセフの配慮は、牧畜をするのに適し、都会から離れたゴシュンの地に、家族を住まわせたことでもありました。喧嘩早い田舎者の兄たちが、エジプト人と一緒に住むならば、争いが起こることは予想されます。先祖アブラハムから受け継いだ信仰を教え、生活に浸透させるには隔離された場所の方が都合が良いのです。

アブラハムへの預言「あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられよう。しかし、彼らの仕えるその国民を、わたしがさばき、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出て来るようになる。」(創世記15・13.14)の通りになることを、御霊の人ヨセフは悟っていたかと思います。つまり、パロへの預言を家族と民族の守りの為に、取り計らったのです。神は、ロトの家族への執り成しを、アブラハムにさせていたように、ヨセフにさせていたことはありうるのです。(創世記18・17)

宗教迫害について警告した信徒伝道者が、「死んでも天国」と覚悟を決めていましたが、指導者としては愚かな人の分類に入ります。指導者は、自らが指導する人々を教え、助け、たとえ聞き入れない愚かな人がいようと丁寧に教導しなければならないのです。人を教えても、聞き入れて直ぐに成長する人は僅かです。「愚かな人が滅びるのは自業自得だ。」としたら、イエス様は地上に生まれなかったし、まして十字架の死を遂げることはありませんでした。十二弟子と言えども、成長は遅く、一人は裏切りました。

 今回のコロナウィルスは、感染を恐れた海外渡航禁止や集会などの自粛によって、未曽有の経済不況を引き起こします。特に中国は、ウィルスの発症及び死者が膨大な数に上り、経済活動が崩壊しています。野菜を含めた食料が流入しなくなり、一〇倍の値段が出たところもあるそうです。市場経済の七割以上が止まっていると言われ、経済不況は世界大のものとなります。

 七年の豊作の時は既に過ぎたのです。七年分の貯えや備えはしてあるでしょうか。エジプトの人々は、飢饉によって、銀を失い、家畜を失い、土地を失い、そして、奴隷となったのです。家の長、組織の長、国や地域の長は、苦難の時に備えていなければならないのです。

 いろいろな分野の工場である中国が機能しなければ、物価は高くなります。飛行機が飛ばない、船が動かない、ということは、輸出入がかなり減るということで、物がなくなり、物価は急上昇します。

 終末というものは、年金で暮らせる、という時代ではないのです。かといって、打算で動き、自分だけの生活を守ろうとする人はいざという時の助けも、神の祝福もなくなります。真摯に信仰に生き。知恵の限りを尽くし、自らを戒めることが、私たちの命綱なのです。

創世記47章1~9節

  • 47:1 ヨセフはパロのところに行き、告げて言った。「私の父と兄弟たちと、羊の群れ、牛の群れ、そして彼らのものすべてがカナンの地からまいりました。そして今ゴシェンの地におります。」
  • 47:2 彼は兄弟の中から五人を連れて、パロに引き合わせた。
  • 47:3 パロはヨセフの兄弟たちに尋ねた。「あなたがたの職業は何か。」彼らはパロに答えた。「あなたのしもべどもは羊を飼う者で、私たちも、また私たちの先祖もそうでございます。」
  • 47:4 彼らはまたパロに言った。「この地に寄留しようとして私たちはまいりました。カナンの地はききんが激しくて、しもべどもの羊のための牧草がございませんので。それでどうか、あなたのしもべどもをゴシェンの地に住ませてください。」
  • 47:5 その後、パロはヨセフに言った。「あなたの父と兄弟たちとがあなたのところに来た。
  • 47:6 エジプトの地はあなたの前にある。最も良い地にあなたの父と兄弟たちとを住ませなさい。彼らはゴシェンの地に住むようにしなさい。もし彼らの中に力のある者がいるのを知っていたら、その者を私の家畜の係長としなさい。」
  • 47:7 それから、ヨセフは父ヤコブを連れて来て、パロの前に立たせた。ヤコブはパロにあいさつした(祝福した)。
  • 47:8 パロはヤコブに尋ねた。「あなたの年は、幾つになりますか。」
  • 47:9 ヤコブはパロに答えた。「私のたどった年月は百三十年です。私の齢の年月はわずかで、ふしあわせで、私の先祖のたどった齢の年月には及びません。」