「神の国に全的信託する」マルコ1章15節

聖書直訳:「(そして言う)時が成就した。神の国が近い。改心して福音に身を委ねよ。」

アドベント(待降節)第1週に入りました。基督の御降誕を待望する期間ですが、単に待ち望むだけではありません。一年間の信仰、行い、生活その他一切を吟味し、悪しきを悔い改め、新たな年に向かって決意を新たにする時です。

   一 時が成就した

「時が成就した」とは、「時で定められた神の言葉が成就した」という意味です。その「時」とは、「時」を表示してなされた神の言葉という意味です。「その時」とは、基督の来臨の時です。

新改訳は「時が満ちた」と訳します。「時」を「期間」と解し、基督来臨の待ち期間が漸く満ちたという待降節に相応しい表現です。

しかし、私は、「時」は「時」と理解します。「基督来臨の預言が成就した」「基督の来臨が成就した」という意味です。

ところで、主イエスの言う「神の福音」とは何でしょうか。主はご自身が来られたことを「時が成就した」と言われたのでしょうか。

   二 神の国が近い

当教会では、今年は、「神の国」をテーマに学んできましたが、その「神の国」は、遠い将来のことと思っていませんか。日本語の「近い」はまだ遠い感じがします。この「近い」とは、手の届く範囲の近さです。いや、手の内と言っても良いくらいです。

ロシアの空港に着くと、そこはロシアですが、ロシアには入国していません。既にロシアなのにロシアではない、そんな感じが、神の国だと考えます。

入国審査が通らなければ入国は認められず、強制退去処分となります。今、チェックが必要です。有効な旅券を持っていますか。査証はありますか。健康に問題ないですか。有害物・禁制品を持ってはいませんか。

神の国にも、極めて厳しい入国審査があります。旅券は、地上の教会での信仰告白、洗礼、教会員、信仰生活の記録です。査証が必要です。査証免除協定はありません。聖霊の証印が、私たちの旅券に押された査証です。

 健康は大丈夫ですか。神の国の検疫所を通過できますか。犯罪はありませんか。誰かから訴追されてはいませんか。禁制品は持っていませんか。偶像です。金銭欲、世の欲は、偶像崇拝です。

   三 改心と信託

 新改訳は「悔い改めて、信仰せよ」と訳します。それは未信者向けです。信者なら、もう必要ない」となるでしょう。

 そもそも「信仰」の意味がわかっていない人が多くいます。英語では、「信仰」に当たる語が、「Belief」「Faith」「Trust」の3つあります。夫々、私は「信心」「信仰」「信託」と訳し分けています。

 Belief 信心は、自分から一方的に信じること、Faith 信仰は、契約関係にて互いに信頼し合うこと、Trust 信託は、自己の所有権を相手方に移転し、相手方の運用に委ねることです。

 日本人的には「信心」という感覚ですが、聖書の信仰は「神と私の一対一の契約の信仰」であり、「基督に全的に献身した信託」です。

 私たちは、自分が自分のものではなく、基督のものです。私たちの体も、知恵も、能力も、体力も、お金も、持ち物も、全て基督のものです。それが、私たちの信仰です。

 「改心して福音に身を委ねよ」とは、今までの誤った考え方を改めて、福音そのものである基督に身を委ねることのススメです。神の国が近いのです。猶予はなりません。唯物論者の生き方、聖書で偶像礼拝と言われている金銭中心の生き方、日本人の基準である損得勘定ではなく、福音に身を委ねた生き方が求められます。自分中心の生き方ではなく、基督中心の生き方です。

マルコ1章15節

  • 1:1 神の子イエス・キリストの福音のはじめ。
  • 1:2 預言者イザヤの書にこう書いてある。「見よ。わたしは使いをあなたの前に遣わし、あなたの道を整えさせよう。
  • 1:3 荒野で叫ぶ者の声がする。『主の道を用意し、主の通られる道をまっすぐにせよ。』」そのとおりに、
  • 1:4 バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪の赦しのための悔い改めのバプテスマを宣べ伝えた。
  • 1:5 そこでユダヤ全国の人々とエルサレムの全住民が彼のところへ行き、自分の罪を告白して、ヨルダン川で彼からバプテスマを受けていた。
  • 1:6 ヨハネは、らくだの毛で織った物を着て、腰に皮の帯を締め、いなごと野蜜を食べていた。
  • 1:7 彼は宣べ伝えて言った。「私よりもさらに力のある方が、あとからおいでになります。私には、かがんでその方のくつのひもを解く値うちもありません。
  • 1:8 私はあなたがたに水でバプテスマを授けましたが、その方は、あなたがたに聖霊のバプテスマをお授けになります。」
  • 1:9 そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来られ、ヨルダン川で、ヨハネからバプテスマをお受けになった。
  • 1:10 そして、水の中から上がられると、すぐそのとき、天が裂けて御霊が鳩のように自分の上に下られるのを、ご覧になった。
  • 1:11 そして天から声がした。「あなたは、わたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ。」
  • 1:12 そしてすぐ、御霊はイエスを荒野に追いやられた。
  • 1:13 イエスは四十日間荒野にいて、サタンの誘惑を受けられた。野の獣とともにおられたが、御使いたちがイエスに仕えていた。
  • 1:14 ヨハネが捕らえられて後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べて言われた。
  • 1:15 「時が満ち、神の国は近くなった。悔い改めて福音を信じなさい。」